オーソモレキュラー(分子栄養学)をベースにして書かれた本では、「糖質だけを意識していてはだめ」と書かれていることは多い。
「糖質制限」その食べ方ではヤセません(大柳珠美)
筆者は管理栄養士の資格を持ち、トップの指示により糖質制限の栄養指導を開始することになり、自身も実践することで減量。
糖質制限がブームと言ってよいほど注目を浴びる中でメディアでも引っ張りだこの活躍をされる中で、糖質制限の落とし穴に気づかれる。
結論として、糖質制限というのは望ましい栄養の要素の1つのパーツで、ビタミンやミネラルなどの他の栄養素のこと, 食品添加物や脂質の質も総合的に考える重要性が書かれています。
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わかる、わかる。
言おうとしていることは、よーくわかるんです。
でもな…不摂生な人にとって最初に必要なのは、何はともあれ糖質制限なんだよな~…。
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なぜモヤモヤするのか考えてみたら、ハードルが高すぎるからだ、だと気づきました。
いま現在、外食とコンビニばっかりで、菓子パンとかラーメンライス、スナック菓子のような食事をしている人に「ビタミンミネラル、食物繊維を必要です」「加工食品は避けて、できるだけホールフード(丸ごと命を頂く食材)を摂りましょう」と言ったらどうなるか?
自らの不摂生を深く反省して、スーパーに昆布と鰹節、きのこを買いに行き、お味噌汁をつくるか?
外来での患者さんとのやりとりという経験則からは、ほとんどはそうなりません。
「あーーーそういうの、むりむりむり!!!」
とあきらめてドロップアウトされてしまうんです…。残念ながら。
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人は、「すこし頑張れば手が届きそうな目標の時に、一番やる気になる」と聞いたことがあります。
江部先生の糖質制限、その辺りが絶妙なんです。
「ご飯は食べられないけれど、肉や魚はお腹いっぱい食べてもいいですよ。揚げ物も、種類を選べばお酒だって。」
このメッセージの安心感、優しさったらありません。
(以前江部先生の糖質制限の様子がテレビで放映されていましたが、ファミレスで揚げ物の衣を半分だけ剥がして食べている姿にきゅん♪となりました。先生も食べることがお好きなんだなーと親近感を感じて。)
もちろん本当に無制限にいくらでも肉をむさぼってよいわけでは、ありません。
江部先生も、お腹いっぱい食べていいと言ったら、しゃぶしゃぶ10人前食べててやせない!と言ってこられた方のことを例に出して、常識的な範囲で…と訂正されていましたw
私自身もそうだったので痛いほどわかるのですが、糖質にどっぷりつかった糖質三昧な生活を送っている人にとって、『ド正論をぶつけられる=説教をされて楽しみを奪われる』と警戒して、どんな体によい助言でも耳をふさぎたくなる傾向があります。
空腹の状態を我慢することに、恐怖感みたいなものを感じてしまうかもしれません。
だから最初のハードルは高すぎない方がよい。
まずはコンビニ食でも外食でも加工食品でもいいから、糖質を大幅に減らすことさえできればOK。
それだけでも健康に与えるメリットは破壊的に大きいので。
「糖質制限が、健康へのゲートウェイファクター」だと思うのは、このあたりです。
よいスイッチを一つ押して変わることで、次のよい習慣につながっていきやすいのです。
体重が短期間に思った以上に落ちて周りから「なんかしたの?最近痩せたよね?」と言われていい気分になったり。
前はパツンパツンで履けなかったパンツが、するっと履けたり。
主食なしでも思っていたよりつらくないと気づくと、自然と「もっと調子がよくなれること、ないかな。」と次のステップに進みたくなります。
そんな時こそ、先ほどの本で書かれているような総合的な視点での栄養の重要性という内容が無理なくすーっと頭に入ってくるのかな、と。