訪問診療と往診のちがい

こんにちは。

今日は医療者にとっては普通に区別できても、患者さんやご家族には間違われやすいことをお伝えします。

「訪問診療と往診はちがいますよ。」

というお話。

 

そんなの知っている~という方はスルーしてOKです^^

 

つい先日の外来で、もう少しで90歳近くになる女性の患者さんが、そろそろ通院が難しくなってきた…というご相談を受けたのです。

「訪問診療をしてくれる病院に、そろそろ紹介して頂いた方がいいんでしょうか…。」

 

長いお付き合いの方で寂しいな…というのが本音ですが、本人とご家族にとって一番よい方法を探します。

ただ娘さんからよくお話を聞くと、ある思い違いがありました。

「先週かぜをひいた時に、いつも以上に手の震えが強く、歩行もふらついていたんです。

本当は先生に診てもらいたかったのですが、こんな時には連れて行くのも大変で。

こんな時に、家に来てくれて診てくれる訪問診療をお願いした方がいいのかなって。」

 

ちょっと待った~~~。

体調が悪い時にお願いし、医者が自宅に来てくれて診療をしてくれる診療スタイルは、往診です。

訪問診療は、月に1回とか2回、あらかじめお約束した日時に、定期的に自宅に伺う診療スタイルで、「調子が悪いから、今日来て!」という依頼に応じる往診とは異なるのです。

どちらも対応してくれるところもありますが、訪問診療のみの対応で往診はしていない、という医療機関も少なからずあるので、事前にきちんと確認することをお勧めします。(往診は、通常とつぜんSOSが入るので、一人で外来診療をしている医院の医師は対応がむずかしいことが多いのです。)

そうでないと「訪問診療をお願いしているから、急に熱が出たときに、いつでも来てもらえて安心!」と思い込んでいて、あとから「こんなはずじゃなかった…」とがっかりすることになりかねません。

 

先ほどの娘さんも、両者のちがいを説明したところ、

「知りませんでした…!もう少しよく考えます。」

とのことで、当日は保留となりました。

 

そうは言ってもADL(体の活動性)が落ちてきている方で、いざ体調が悪いときに相談できる医療職の存在は心づよいですよね。そんな時には、すぐに訪問診療や往診というのではなく、訪問看護という在宅サービスを受けることも考えてみてください。

こちらは自宅に訪問することを専門にしている看護師さんが訪問看護ステーションというグループを作っていて、週に1回など定期的に自宅に伺って医学的なチェックや困りごとの相談に乗ってくれますし、必要性があれば熱があるなどの症状がある時に自宅に来ていただくことも可能です。

訪問看護師さんの目から見て、連れていくのが大変でも受診した方がよいか、もう少し様子を見られるかなどのアドバイスも受けられますし、医師の指示のもとで自宅で採血をして重症度を判断することもできます。

…ということで、ご相談を受けた方は、まずは訪問看護サービスを導入することになりました。

介護サービスなどは、慣れないと違いがよくわからず戸惑うことも多いですし、誤解されていることもあります。わからないことは、遠慮なくケアマネージャーや医者に聞いてみてくださいね。

よい週末をお過ごしください。

この子は約1年前にわが家にやってきた愛犬のゴンちゃん。先日雪が降った時には大喜びでかわいかったです^^