口唇ヘルペス薬で認知症予防

これは大変な発見…!と驚いています。

河野先生の動画で紹介されていて、この本を読みました。

この本には、こんなことが書かれています。

・アルツハイマー型認知症は、口唇ヘルペスウィルスによるスローウィルス感染症である。(スローウィルス感染とは、すぐにではなく時間をおいて影響が出る感染症のこと。)

単純ヘルペス感染者は、非感染者の2.55倍アルツハイマー型認知症になりやすい

・口唇ヘルペスが出たときに、速やかに抗ヘルペス薬(ウィルスの増殖を抑える薬)を飲むことで、MCI(軽度認知障害。認知症のグレーゾーン)の方までなら認知症発症を予防できる可能性が高い。

口唇ヘルペスは、一定割合の高齢者の脳に常在していています。抵抗力が落ちた時にこれが炎症を起こすことで、APPというアミロイド前駆タンパクがアミロイドβ蓄積につながるというわけです。

抗ヘルペス薬を飲むことでアルツハイマーを発症しなくて済む可能性が高い人は、日本だけでなんと340万人!これはすごいことです。

ついでにヘルペスの親戚である帯状疱疹については、眼の角膜炎に感染した場合は認知症になる確率が2.97倍とさらに高くなります。

帯状疱疹はワクチンがありますので、接種した方がいいですね。

外来で、口唇ヘルペスは日常的によくある疾患です。多少煩わしそうであるものの、苦痛が大きかったり重篤な印象はなく、「副作用がない薬はない」という考えのもと、これまでは抗ヘルペス効果のある軟膏のみ処方していました。

しかし、この本を読んだ翌日に来られた高齢女性の口唇に赤い水泡を見て「来た!!!」とひそかに興奮した私。

学んだ内容をご本人・家族に共有し、‘将来の認知症予防のために’抗ヘルペス薬を処方しました。

これを読まれたあなたも、口唇に赤いポチポチが出た時には、すぐに外来を受診し、軟膏だけではなく飲み薬を処方してもらって下さいね。必ずですよ。