介護の世界へ越境せよ

3月13日(日)認知症治療研究会に参加。

理学療法士にて生活リハビリを指導されている、三好春樹さんのお話は、いつも心にグイグイ響いてくる。

今回のお話のタイトルは「介護の世界に越境せよ」。

茨城の僻地の病院で認知症患者さんと出会い、認知症について学ぼうと思った時に、最初に手にとった本は三好春樹先生の「じいさんばあさんの愛し方」という本だった。
 ありのままの老いや病を受けいれ支えていこうという哲学に強烈にひかれたものの、三好先生は本の中で医療者の姿勢にえらく憤っていたので、気が弱い私は怖気づいてそれ以上深入りする勇気が出なかった。
 その後「医者は認知症をよくできる」というコウノメソッドと出会い、症状が改善する手ごたえを感じたものだからそちらにエネルギーを全力投球することとなった。
 そこから更に7年がたち、いま再び三好先生の本に戻って学び始めている。
 余計な薬を使わず、適正な薬を選択することは大切。でも目の前の方をよくしようと強く思えば思うほど、状態を左右するのは治療がすべてではない、生活が決定的に重要だということをひしひしと実感して。自分に何ができるのか?と考えるように。
いまも個人的テーマの柱の一つが『医療と介護の連携』。
 私が関わった介護施設の施設長は私にこう言った。
「医者って、長いこと敵だと思っていたんです。」
医者がガイドラインに従って処方し増量する薬によって、認知症の方は興奮がどんどん強くなったり歩行が悪くなっていく。家族や心ある介護職員は、いかにそういう薬害から認知症の方を守るかに苦心してきたのだろう。三好先生がなぜあれほどの熱量で憤っていたのか、今なら少しわかる気がする。
 でもでも。医療者と介護者が敵対しあっても、真ん中にいる本人や家族は幸せになれない。幸いにも、コウノメソッドを通じて多くの心ある介護者の方とつながることができた。アプローチは異なれど、想いは同じだと感じる。互いの専門性を尊敬しあってタッグを組み「よい介護×よい医療」の状態になれば最強なのではと。三好さんも「サイエンスである医療とアートである介護がクロスしたところに、老人の生活が立ち上がっていく。」と書かれているしね。