塙歯科との定例ミーティング

おはようございます。

昨日夕方は、塙歯科医院さんにお邪魔して、ミーティングをしました。

由紀子先生の「あやか先生、そろそろやりませんか?」という一声で、だいたい月1回くらい打ち合わせでお邪魔しています。

何が楽しみって…

由紀子先生の食事が、おいしーーーーーい(⋈◍>◡<◍)。✧♡

「お気遣いなく!」と言いながらも、実はいつもめちゃくちゃ楽しみにしている私。

パソコンの向こうには、今日は御用で笠間には来られなかった歯科医の越智先生がZoom参加でした。

 

この小さな小さな歯科-医科ネットワークのねらい。

それは、笠間の『最期まで口から食べる』を守ること。

 

今回の打ち合わせの主なトピックは、『口腔機能低下症(dysarthria)の評価』について。

昨日、塙章一先生が

「あやか先生が昨年の5月に、こんなメールをくれたでしょう。『先生方のペースで結構ですが、ゆくゆく口腔機能低下症の評価ができる診療体制を塙歯科さんで整えて頂けると助かります。』って。」

は、はい…。言ったような…気がします。

確かに私自身が書いたメールをプリントアウトしたものを見せて頂くと、そんなことを書いています。

私は思いつくと深く考えずに口に出して、すぐに忘れちゃう方なのですが(笑)塙先生ご夫妻は逆です。誠実で真面目、そして着実に行動に移される方。

時間をかけて口腔機能低下症の資料を集め、そして院内の歯科衛生士さんと共にモデルケースとして患者さんで評価をして下さったのです。今回はそのケース発表も。評価した内容が、写真つきで分かりやすくまとめて下さっています。感謝の言葉しかありません。

今後の課題は、どんなタイミングでこの評価を活用すれば、私たちの目指す『最後まで口から食べる』が実現できるか?ということ。

塙先生が関わったケースでも、「水も飲みにくいんだ」とSOSがあって慌てて調整をされたものの、数日後に亡くなってしまった高齢女性の話が出ました。症状がよくよく進んでぎりぎりになってしまってから駆け込むよりも、もっと早い段階で介入した方がよいことは明確です。

一つのアイディアとして、初診でもの忘れ外来にかかった方にお勧めする、というのも。東京医科歯科大の菊池先生は、『認知症と診断されたら歯科に行け』という名言を残されています。認知症が進行するとケアが適切にしにくくなったりというお口のトラブルが出やすくなるため、理解力が残されているうちにしっかり介入するというのは、‘攻めのアプローチ’でいいですよね。この辺りは、試行錯誤しながらタイミングを考えていきます。

最後に、当院と塙歯科さんの共通の患者さんの動画を見て、盛り上がりました。

Oさんという認知症女性で、夫が主介護者で献身的に生活をサポートしています。面白いのは、同居されている娘さんが、自宅の食事風景をスマホで撮影し、塙先生のところにしょっちゅう送って下さるんです。

塙先生「私たちは診察室で、口を開けたり閉じたりして義歯を調整します。実際に家に帰ってその入れ歯でどんな食べ物をどんな風に食べているかは、なかなかわかりません。今回娘さんが食事風景を送ってもらって、診察室では絶対に知りえない情報がたくさんあることが分かって、本当に勉強になりました。」

動画を送って頂いた当初、ご主人は朝のデイサービスのお迎えに間に合うように少し焦りながら、大きなスプーンに山盛りの食事をせっせとOさんの口に運んでいました。なかなかのハイスピード。肝心のOさんは、どこかぼんやりして半覚醒?姿勢も斜めに傾いていて、誤嚥しないかドキドキ。

動画を見て話し合った上で、スプーンを小さめのタイプに変えたり、姿勢を整えるための椅子とテーブルを用意したりと調整を重ねたり。その後、本人の食への意欲を引き出すのにファミレスのココスに連れ出すという作戦があたって、本人は自分で食事できるという事実が明らかに!!これまでは、外食なんて無理だろうと最初からあきらめていたんだそうです。今では週1回家族でココスで外食をするのが定例となり、家族の楽しみになっているのだとか。

昨日見た動画では、Oさんは干し柿を握りしめ、自分でむしゃむしゃ。最初の動画とは別人のような姿に、みんなで嬉しい笑いが。そこにはOさんの「食べたい」という気持ちがビンビン伝わってきたので。

塙先生いわく‘つぎはぎのように修正した入れ歯’で、本当はもっとよいものにしたいと言っていましたが、今のままでもいいのでは…と思わせる動画で。

「僕たちは、どうしても完全な状態の物を提供したいという思いがあるけれど、手を入れすぎない方がいいこともあるんですね。」

という塙先生の言葉が心に響きました。

生活意欲を引き出すアプローチ、もっともっと勉強したいです。