昨年4月に、長野県小諸で民家を改装した介護施設をされている「みんなの家タブノキ」を訪ねた。タブノキをつくられた深山さんのお話が、とても心に残っている。当時Facebookにあげた文章を、ここに再掲させて頂きます。
深山さんが自分で納得ゆく仕事をできる場所をつくりたいと奥さんに打ち明けた時。
「自分ひとりではできないから、助けてください。」
きっと反対されるだろうと覚悟の上での相談を、奥さんが受け入れてくれた。
初めての「たすけて」。小さくて、でも一番重大なSOS。
300坪の土地に建つ古い民家と蔵を買ったのだが、すごいのはその先。
奥さんが自分の職場に退職の意志を伝えたところ、職場の仲間が次々と手伝いに来てくれたそうで。
「なんだか面白そうなことをしようとしているけれど、お金がないから手伝ってあげて。」
そうやって口伝えで次々と「たすけて」が広がった。ご夫婦のところに、たくさんの人たちがやってきては、古民家の内部を壊したり、ペンキを塗るという‘人手や時間を必要とする作業’を手伝ってくれて。大工さんであるいとこの助言を借りながらも、基本的には内部の改築を半年間かけて自分たちの手でしていったと聞いて驚いた。そうやって関わっていた方の中に、スタッフとして一緒に働く方まで現れたと。
なんて話!と思った。世の中の大人の活動は、お金を中心に回ってるんじゃなかったの?資本主義だから。でも深山さんは、志があっても、スタート時点では潤沢な資金はなくて。でもどうしてもこれをやり遂げたい!と思った時に「たすけて」と言える人とのつながり(きずな貯金?)をもっていた。そして深山さんや奥さんを信頼する友人、その友人を信頼する知人…ときずなや信頼が連鎖して、地域の中で広がって、奇跡みたいなタブノキの空間ができた。(つづく)