こんにちは。
以前から読みたいと思っていたこの本を読みました。
『ぼくが前を向いて歩く理由(わけ)』(中村 成信 著 中央法規)
この本を書かれた中村成信さんは、50歳台半ばで前頭側頭葉変性症(ピック病)を発症しました。
茅ヶ崎で公務員をされていた現役時代に、認知症の診断がつく前の段階で近所の商店でチョコレートなどを万引きをしてしまいます。
現役公務員の起こした事件としてニュースになったことで、妻は近所の目を気にして外を出歩けなくなり、娘さんも職場にいづらくなって退職。
中村さん本人も、最も厳しい懲戒免職とされてしまいます。
認知症の診断を告げられたショックに加え、懲戒免職という厳しい処分、生活の糧を失い収入が途絶えるという経済的な困窮。
本人と家族はどれほどつらかっただろうと思います。
ピック病という病気の特徴をよく知る教科書としても、この本は優れた教材です。
個人的に印象に残っているのは、妻が職場に残された荷物をとりに行くシーン。
本人の荷物の中にクリスマスツリーなど場違いなものが含まれていて、家族は普通に仕事をしていると疑ってもいなかったけれど、
もっと前から本人の頭の中には混乱があったんだな…と家族がが察します。
奥さまの気持ちを想像すると、胸が締めつけられるような気持ちに。
他にも取り上げたい印象的なシーンや言葉が沢山散りばめられています。
本のタイトルどおり、‘身分の回復’をかけた闘いを戦い抜き、前に進んでいく中村さんとご家族の穏やかな日々をお祈りします。
この本を題材にして、本人や介護家族の方といろいろなことを語る場があったらな、と思いました。