当事者の言葉の重み

先日ブックマン社の小宮さんと会食をする機会を頂き、遅ればせながらこの本を。

私の脳で起こったこと (樋口直美 著 ブックマン社)

若年でレビー小体型を発症した樋口直美さんという女性が書かれた本です。

 

日記として綴られた文が、ほぼそのまま書籍となっています。

 

圧倒されました。

なんて聡明な女性なんだろう。

 

長い期間うつ病と誤診されて抗うつ薬で病状が悪化した状態でつらい日々を過ごし、

‘幻視’というキーワードから自らレビー小体型では…と疑い、最終的にレビー小体型と診断されます。

幻視や自律神経症状の嵐に一喜一憂する心の葛藤が、丁寧に描写されています。

彼女の弱さも強さもありのままに書かれていて、本当に素敵な方だな…と感じました。

 

「死ぬことよりも、自分で自分をコントロールできなくなること、家族を苦しめることが怖い。

そんなことになるくらいなら死ぬ方がよほど楽だと今でも思う。」

文章の端々から、凛として自分らしくいたい、そして人の役に立つ存在でいたいという毅然とした姿勢が伝わってきます。

 

幻視にしろ自律神経症状にしろ、当事者の発する言葉の重みというのは凄まじい。

ご本人も書かれていますが、医療者の説明というのは、どこまで言っても‘他人事’です。

そこに暮らしや感情という‘色’がないので。当事者の声に耳を傾けて想像することはできても、これは医療者の限界です。

だからこそ、聡明な当事者の発する言葉は、貴重なんだなと。

私はこの本で、幻視症状について、そしてレビーの自律神経症状がどれほど体調全体に大きな影響力を与えるのかを学ばせて頂きました。

そしてレビーの方がどんな風にこの‘荒れ狂う虎’を飼いならそうとしているのかの日々の工夫についても。

 

心からお礼を申し上げたいです。