シチコリン・パラドックス

おはようございます。

立春を迎えましたが
まだまだ寒い日がつづきますね。

今日は、
シチコリン注射の落とし穴についてお話してみます。

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レビー小体型は、別名‘意識障害型’ 認知症とも言われ眠ーい認知症です。

夜寝ていても、昼間もウツラウツラ。

傾眠は日中の活動性低下、転倒や誤嚥リスクにつながるので何とかしたい。

この傾眠を、一発で覚醒させてくれるということで、
シチコリン注射をよく使ってきました。

反応がいい方では、ビューっと静脈に入れるそのそばから開眼することも。

レビーのせん妄にも効果があります。

当院に通院するレビー小体型の男性も、シチコリンがよく効き
数日おきに来院していました。

シチコリン開始後は、日中の覚醒度が格段にあがり、喜ばれていたのですが。

ところがところが。

ここ1-2か月寒さがめっきり厳しくなってから、どうも調子が悪い…。

もともと起立性低血圧はありましたが、それが顕著となり。

意識消失発作もくり返すように。

なぜだろう?…と調べていて、こんな言葉にぶつかりました。

『シチコリン・パラドックス』

シチコリンは、アセチルコリンの合成を高めます。

脳幹網様体という意識の中枢を賦活し、
脳血流を改善することで傾眠に効果があるのですが…

アセチルコリンからの迷走神経反射により、
意識消失発作を誘発することがあるという記載が!!!

意識消失が増えた患者さんのことが頭に浮かびました。

レビーの意識消失発作は、
日中と夜間の温度差が15℃以上ある地域で発生率が高いという報告もあり
最近の気候の厳しさも背中を押した可能性もありますが。

次の外来時に、ご本人と家族に申し説明して、
グルタチオン点滴に変更させてもらいました。

すると…
いいんです!

この方は以前一度グルタチオン点滴にチャレンジした際はパッとしなかったのですが、
今回はこちらの方が格段に頭がクリアになったとの報告を後日頂きました。

気づくのが遅くて
ごめんなさい。

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レビーでも
起立性低血圧や
意識消失発作が強い方は
シチコリン注射が
裏目に出ることがある。

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シチコリンを使っていても何だかうまくない…という方は
グルタチオンに切り替えてみるとよいかもしれません。

よい週末を
お過ごしくださいね♪