塙先生との出会い

●2023年11月19日

R2年6月に「この笠間で口から食べるを支えたい!」と勝手に決意したものの…何から始めればよいのか、さっぱりわかりませんでした。私自身はVE(嚥下造影)やVF(嚥下内視鏡)といった専門的な検査を日常的に行う耳鼻科医でもなければ、口の中を診る歯科医でもありません。

摂食嚥下関連の本には、食べるという行為を支えるには、多くの診療科や職種が関わらなくてはダメだ、と書いてありました。地域の中で摂食嚥下のサポートチームをつくらなくては、と。

この笠間に、はたして一緒に動いてくれる方はいるのか?

途方に暮れた私は、笠間市の健康増進課に電話をかけて相談してみたのです。

「食のサポートに積極的に取り組んでいる先生がいらっしゃれば、紹介して頂けませんか。」

そこでご紹介を頂いたのが、塙歯科医院の塙章一先生と由紀子先生のご夫婦でした。

運命の出会いだと思っています!

おそるおそる塙歯科医院に電話をかけた私を、塙先生ご夫妻は温かく歓迎して下さり、以来1-2ヶ月に1回の頻度で診療後に塙先生宅に押しかけては食事をご馳走になり、ああでもないこうでもないと話をするようになりました。

 

塙先生に教えて頂きましたが、実は笠間では、かなり積極的な食への取り組みがされていたのです。

「食改さん」(食生活改善推進員)という立場の方がいます。

旧笠間市の食改さんは、保健センターの佐伯さんが15年をかけてコミュニケーションをとり信頼関係を積み上げてきた組織です。保健センターで9地区の代表を集めて佐伯さんが料理などを指導し、そこに参加した代表は自分の地域に帰って同じプログラムを地域の食改さんへ伝え、さらに食改さんが地元の人たちに伝えていくというシステムを作り上げていました。

また塙先生ご夫妻は、1997年から食文化研究会として活動をされています。歯科医師会が主導となり、食を切り口として多職種連携、「楽食」という食のバリアフリー化へなどの活動をされています。塙先生が活動をする上で、食改さんのシステムがあったためにスムーズにいったとお聞きしました。

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食文化研究会の活動)

  • 機能を育てる食育
  • 楽食
  • 人にやさしい器
  • パッククッキング
  • 発音エクササイズ
  • 弁当プロジェクト(かむかむ弁当)

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2000年茨城新聞で、笠間市の取り組みが取り上げられています。

塙先生の取り組みは、すごいです。

脳梗塞などで手が不自由な方でも使いやすい食器を笠間の陶芸家さんに作って頂いたり、糖尿病の方でも楽しめるフレンチのコースを提供するレストランがあったり。(モンラパンさん、今は特別食の提供をお休みされているようで残念です…。)医療という枠組を超えて文化の領域にまで越境する視座の高さ!時代の先の先をいく、斬新な取り組みです。

塙先生の言葉で、私が素敵だな…と思い印象に残っているのが、

「食を切り口にするとね、人が集まってくるんですよ。」

‘食べる’ということに関係がないと言える人は、誰もいないですものね。摂食嚥下サポートが、一つの科の頑張りでうまくいかないことは、ハードルになりうると同時に、絆をつくらなくては乗り越えられないという意味では、地域づくりのまたとないきっかけにもなりうるんですね!

こんな素晴らしい先生方と巡り合えたこと、一緒に活動して頂けるというアドバンテージを最大限に活用して、笠間で頑張って活動していこうと思います。