外来サマリーお渡しします

能登半島の震災のことが、常に気にかかっています。

いまの自分に何ができるか。

そして、同じように災害は今日笠間に来るかもしれませんね。

 

過剰に不安を抱かずに、でも常に頭のどこかで災害を意識して暮らすようになっています。

停電時用に用意したガスコンロも、時々引っ張り出して料理してみたり。

非常食のアルファ米を、家族みんなで試食してみたり。

‘その時’は余裕がないので、ぶっつけ本番では心元ないので。(もともと用意周到なタイプではありません。)

 

先日お試し試食したナシゴレン。

おっちょこちょいゆえに赤いパウダーを入れずにお湯を注いでしまい、後から投入するという安定のうっかりぶりですが、それでも何とか大丈夫でした。(予行演習、大事です笑)

噂どおりのスパイシーさ!

辛いものが大好きな私と長男には大ヒット。末っ子のみNGでした。

アルファ米は人生初でしたが、こんなにも美味しいとは驚きです。これが5年保存できるとは心強いです。

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クリニックの災害対策として、着手しようと決めたこともあります。

それは…

かかりつけ患者さんに、外来サマリーをお渡しすること。

実は、かなり前から必要性を感じながら、忙しさを口実に実行できていなかったことなのです。

外来サマリーというのは、外来に通院されている方が、どのような病気を持っていて、どのような経緯で

現在の治療に至っているのかなどをざっくりとまとめたものです。

これが入院患者さんだと、入院の経緯をまとめた入院サマリーになります。

詳しい情報は、電子カルテのそれぞれの診療日の記録を見ればわかるのですが、5年以上通院されている方など長めの通院では、全ての情報を閲覧するのは大変ですし、パッと見て全体像がわかった方が便利です。そのため外来の余裕を見ながら、簡単ではありますが外来サマリーをつくっています。

この外来サマリー、通常は患者さんにお渡しすることはありません。

それに近いものは、医療機関どうしで紹介時に書いてもらう診療情報提供書(紹介状)があります。これは必ず必要な‘正式な’文書ですが、作成時には、外来サマリーを見ながら作成しているのです。

 

必要な時には紹介状を書くのだから、それでいいのではという意見もありますが。

でも…
もし明日大地震がきたら???

患者さんの大切な情報は、すべて電子カルテの中です!!

もちろん電子カルテ会社も、バックアップシステムを準備しており、クラウド(インターネット上の空間)に保存していた医療情報を、後に取り出すことはできるとは思います。

ただ、復旧作業の一環として行われるので、今すぐというわけにはいきません。

そして医者も生身の人間です。大規模な震災に見舞われて私自身が絶対に無事という保証はありません。

そもそも震災でなくても主治医が突然健康上の理由で診療できなくなってしまう事態は、いつでも起こりうることです。主治医が不在となり、クリニックが突然の閉院せざるを得なくなった場合、かかりつけ患者さんはお薬手帳だけを持参して、他の病院に行くしかありません。

これはご本人にとってとても困ることです。

本人にとって重要な医療の歴史のバトンが、そこでプツッと途絶えてしまうのですから。

本人の重要な医療情報は、主治医のものではなく、まちがいなく本人のもの。

医療機関が独占するのは万が一の時の不利益が大きい。

災害大国日本では、ご本人にも外来サマリーのコピーを持っていただく方がいいかなと、以前からぼんやりと感じていました。

紙ベースで情報を持っていれば、急に遠方に避難する際にも、最低限の情報を携帯できますから。

 

これまでやろうやろうと思いつつできなかったのは…自分自身が、不十分さを許容できなかったため。

慌ただしい外来の中では、時間的な余裕がなくて聴取が抜けている項目があったりと、お渡しするには少しお粗末だな…と気遅れしてしまっていました。

ただ100点満点でない60点のサマリーでも、いざという時にないよりはいいかと。

何はともかくやってみて、定期的に見直しながら穴を埋めて完成度を上げていこうかと。

この穴を埋める作業には、時に患者さん本人やご家族に情報提供という形で協力を頂くことがあるかもしれません。

外来の混雑も波があるので、そこは臨機応変にやっていこうと思っています。

現在当院に定期的に通っている方で早めに外来サマリーがほしいよーという方は、ぜひ受診時に直接お声をおかけ下さい。

お薬手帳コピーとあわせて避難袋に入れておくことをお勧めします。

能登半島の方が一日もはやく平穏な日常を取り戻せるよう、お祈りしています。