●9月 22日(日)
認知症・介護ライターの東田勉さんが書かれた『「認知症」 9人の名医』という書籍の出版記念セミナーが日本橋で行われました。
この本の中でインタビューを受けたご縁で、私も後半に登壇し座談会でお話をさせて頂きました。
東田さんはとっても真面目な方で、人見知りをされるのか、クリニックで東田さんから初めてインタビューと受けた時にはこちらまで緊張しました。今日の懇親会では…少し打ち解けられた気がします。
東田さんは過去に「新しい認知症ケア」という分厚い本を手掛けており、コウノメソッド(医療)と生活リハビリ(介護)の両方に精通されている稀有な存在。両者の取材をする中で、‘医療と介護の間にある溝’の大きさをひしひしと感じ、この溝をなんとかしたい、とお話されていました。
先日立ち上げた日本認知症研究会のHPは、‘えんがわJapan’と名づけています。この‘えんがわ’というタイトルには、医療や介護という専門どうしの垣根をこえてチームとしてタッグを組みたい!という想いがこめられています。
「あれ、日本認知症研究会とえんがわJapanって、いったいどういう関係なんでしたっけ?」
当日会場からしれっと質問をして下さったのは、長尾和宏先生。
長尾先生、研究会を立ち上げようと発案された言い出しっぺなのに、ご本人が忘れちゃったの?!?!と少し焦りましたが、会場の皆さまに大切な情報をお伝えする機会をつくってやろう…という親心だったようです。
今回のセミナー前半で認知症診療のレクチャーをして下さったのは、千葉県で市川フォレストクリニックをされている松野晋太郎先生です。
松野先生とは、11年前のほぼ同時期にコウノメソッド実践医として名乗りをあげました。同年代で、千葉県と茨城県とお隣り県。どちらも内科医なのに必要に迫られて認知症の勉強を一から始めたこと、当初は公立病院に勤務していたのが後にクリニックを開院したこと、後に栄養療法にも範囲を広げていることなど、共通点が多い多い。
診療については松野先生は理論派でとにかく研究熱心。常に進化し続けており、その進化スピードには太刀打ちができない…と尊敬もしております。翌日予約が入っている外来患者さんの情報を前日に‘予習’をし、当日診察後には‘復習’もするのだそうです。
「いつも頭の中で、この患者さんには何が足りないのか?と想像しながら治療を組み立てている。」
という言葉に驚愕しました。
そんな緻密な作業を脳内で行いながらも、口調はソフトで患者さんやご家族にとにかく優しいのです。
「今日は私が代わりに薬をもらいに行こうか。」
と言う家族に、高齢の認知症患者さんが「いや、自分も行く。」と自ら行こうとするお気持ち、よくわかります。
身近にこんな素晴らしい同志の医師がいることの幸せを、あらためて実感したセミナーでした。私も負けないように頑張ります!